庚申塔が赤く塗られていることがあるのはなぜか
赤い庚申塔(こうしんとう)を見かけることがあります。
・石そのものが赤く塗られている
・赤い前掛け・涎掛けが掛けられている
・彫った溝に赤い顔料が入っている
**この3つは別の話です。**分けて書きます。
① 赤い前掛けが掛かっている
いちばん多いのはこれです。
・地蔵に赤い前掛けを掛ける習慣が広く知られる
・同じ習慣が、他の石造物にも及ぶことがある
・[青面金剛](/shoumen-kongou/)像・[三猿](/sanzaru/)に掛けられていることがある
これは今も世話をしている人がいるということです。
動かさないでください。
② 石そのものが赤い
2つの可能性があります。
A 石材がもともと赤い
→ 赤みを帯びた石材が使われている地域がある
→ 地質の問題であって、信仰とは関係しない
B 塗られている
→ 顔料が塗布されている
Aの可能性を先に潰します。
赤い石が産出する地域では、 その石で建てられた石造物が全部赤くなります。
同じ場所の他の石造物も赤いかどうかを見ます。
③ 赤い顔料が使われている
彫った溝に朱が入っていることがあります。
・文字を読みやすくするため
・装飾として
・造立当初から彩色されていた可能性
石造物が当初は彩色されていた例は、 仏像・石仏の分野で知られています。
風化して落ちたものが、今は白い石に見えています。
「赤」の意味として語られるもの
以下は語られていますが、このサイトでは断定しません。
・魔除け・厄除けの色
・疫病除けの色
・赤色の顔料に防腐・防虫の効果があるとされたこと
これらは石造物一般・民俗信仰一般の文脈で語られる説明です。
「庚申塔だから赤い」という説明ではありません。
後から塗られた場合
近代以降に塗り直された例があります。
・保存のつもりで塗る
・地域の行事で塗る
・文字を読みやすくするために塗る
これは注意が必要です。
✕ 自分で塗らない
→ 文化財の場合、毀損になりうる
→ 石材を傷める可能性がある
→ 造立当初の状態が分からなくなる
同じ理由で、 チョークや墨を入れて撮影するのも避けてください(→ 写真を撮るときに)。
見かけたときに確認すること
□ 前掛けなのか、石そのものなのか
□ 周りの他の石造物も赤いか(→ 石材の可能性)
□ 彫りの溝だけが赤いか(→ 顔料)
□ 案内板に記述があるか
□ 自治体の文化財資料に記述があるか
⑤が確実です。
地域の習慣として記録されていることがあります(→ 資料と本)。
まとめ
- 3つに分けます。前掛け/石そのもの/彫りの溝の顔料
- いちばん多いのは**赤い前掛け。**今も世話をする人がいるということです。動かさないでください
- 石そのものが赤いなら石材がもともと赤い可能性を先に潰します
- 周りの他の石造物も赤いかを見ます
- 彫りの溝の朱は、読みやすくするため・装飾・当初の彩色
- 「赤=魔除け」は石造物一般の説明です。「庚申塔だから赤い」ではありません
- **自分で塗らないでください。**文化財の毀損・石材を傷める・当初の状態が分からなくなる恐れがあります
- 確認は自治体の文化財資料が確実です