庚申塔と馬頭観音の違い

庚申塔(こうしんとう)と馬頭観音は、道端で並んで立っていることが多いです。 そのため同じ系統のものに見えますが、由来がまったく違います。


先に結論

庚申塔馬頭観音(ばとうかんのん)
由来庚申待という行事の記念馬の供養・馬の守り
系統道教+仏教+民間信仰仏教(観音の一種)
刻まれるもの青面金剛・三猿・「庚申」馬の頭を戴いた像・「馬頭観音」の文字
立つ場所道端・辻街道沿い・峠(馬が通った道)
誰のために(罪を報告させない)(供養)

決め手は「頭の上に馬がいるか」です。


馬頭観音とは

観音菩薩の一つです。

・頭の上に馬の頭を戴いた姿で表される
・怒りの表情をしていることが多い(憤怒相)
・観音の中では珍しく、優しい顔をしていない

日本では「馬の守り」「馬の供養」として広まりました。

・農耕や運搬で馬を使っていた
・馬が死んだとき、供養のために建てる
・街道沿いに多いのは、馬が通った道だから

なぜ並んで立つのか

理由は道祖神との違いと同じです。

道路整備や区画整理で、周辺の石造物が一箇所に集められた
  → 庚申塔・道祖神・馬頭観音・二十三夜塔などが並ぶ
  → これが「石仏群」と呼ばれる状態

もともと別の場所に立っていたものが、まとめられています。

だから並んでいること自体には意味が無いことが多いです。


見分け方

① 頭の上に馬がいる → 馬頭観音
② 三猿がいる → 庚申塔
③ 男女一対 → 道祖神
④ 文字を読む → 「馬頭観音」「庚申」「道祖神」

①がいちばん確実です。 馬の頭は他の石造物には出てきません。


文字塔だと見分けにくい

像ではなく文字だけの塔も多いです。

「馬頭観音」「馬頭觀世音」と刻まれたもの
「庚申」「庚申塔」「庚申供養塔」と刻まれたもの

この場合は文字を読むしかありません。

風化して読めないこともあります。 その場合は分類が確定しません(→ 文字を読む)。


両方に共通していること

違いを見てきましたが、共通点もあります。

① どちらも【江戸期に多く造られた】
   → 庶民が石造物を建てられるようになった時代

② どちらも【講】という集まりが関わることがある
   → 庚申講・馬頭観音講
   → 人が集まって費用を出し合い、建てる

③ どちらも【道端に立つ】
   → 誰でも通る場所に置かれた

②が重要です。

どちらも「個人が建てたもの」ではなく「集団が建てたもの」であることが多いです。 だから造立年や講の人数が刻まれています(→ 文字を読む)。


「石仏」という総称

まとめて「石仏」「路傍の石仏」と呼ばれることがあります。

石仏 … 石で造られた仏像・神像の総称

庚申塔は厳密には仏像ではありません。

・青面金剛は仏教の尊格とされることもあるが、系統が複雑
・文字塔は像ですらない

「石造物」「石造文化財」のほうが広く使える語です。 自治体の文化財リストでも、こちらの表記が使われることが多いです。


まとめ

  • 決め手は頭の上に馬がいるか
  • 馬頭観音は馬の供養・馬の守り。街道沿いに多いです
  • 庚申塔は人のため(罪を報告させない)、馬頭観音は馬のため
  • 並んで立つのは区画整理でまとめられたから。並び自体に意味は無いことが多いです
  • 文字塔だと見分けにくいです。風化して読めないこともあります
  • 共通点は江戸期・講という集まり・道端に立つの3つ
  • 「石仏」より**「石造物」**のほうが広く使える語です

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