庚申塔が多い地域と、その理由
庚申塔(こうしんとう)は基数の総計は出せませんが、分布の偏りは複数の資料から言えます。
関東に多いとされる
関東地方の庚申塔の多さは、複数の自治体資料・博物館資料で扱われています。
・埼玉・千葉・東京・神奈川・群馬・栃木・茨城
・市区町村単位の調査報告書が多く出ている地域でもある
ただし注意が必要です。
調査が進んでいる地域 = 記録された数が多い
↑
これが「実際に多い」と同じとは限らない
「関東に多い」は、資料の量と実数の両方が効いていると考えるのが正確です。
地域による形式の違い
同じ庚申塔でも、地域で表情が違います。
・[青面金剛](/shoumen-kongou/)の腕の数
・[三猿](/sanzaru/)の姿勢・配置
・[ショケラ](/shokera/)を提げるかどうか
・石の形(板碑型・角柱型・[笠付き](/katachi/))
・文字塔と図像塔の比率
同じ主題なのに、土地によって別物に見えます。
これが庚申塔めぐりの面白さです。
独特な地域
九州の国東(くにさき)半島は、石造文化そのものが独自に発達した地域として知られています。
・石の文化が濃い地域
・庚申塔も独特な形が残るとされる
関東型を見慣れた目には、別の石造物に見えることがあります。
この種の「地域型」は、 その地域の自治体・博物館の資料に記述があることが多いです(→ 資料と本)。
少ない地域・見られない地域
・北海道
→ 本州からの移住が近代以降。[造立の時期](/itsukara/)とずれる
・沖縄
→ 別系統の民俗信仰の体系がある
庚申信仰は「日本全国どこでも同じ」ではありません。
近世の村落構造と結びついた信仰なので、 その構造が違う地域では、別の形をとっています。
なぜ偏るのか
説明として挙げられるもの:
① 石材が手に入るか
→ 良質な石が近くにある地域は石造物が多い
② [庚申講](/koushinkou/)を維持できる村落構造があったか
③ 石工の集団がいたか
→ 近隣に同じ癖の彫りが残ることがある
④ 近世の人口密度と経済力
⑤ 近代以降に失われた度合い
→ 都市化・道路工事・区画整理
⑤も効いています。
「もともと少ない」のか「失われた」のかは、 資料が無いと区別できません(→ 撤去したいとき)。
自分の地域を調べる
① 市区町村の文化財一覧
② 石造物調査報告書
③ 市区町村史の民俗編
④ 隣の市町村の資料も見る ← ここが効く
④を勧めます。
1つの自治体の資料は、自分の市の話しかしません。 隣と比べると、初めて「この地域の特徴」が見えてきます。
他の地域と比べに行く
まとめ
- **関東に多いとされる。**ただし調査の進み具合も効いています
- 地域で形式が違います。腕の数・三猿の姿勢・ショケラ・石の形・文字塔の比率
- 国東半島は石造文化が独自に発達した地域として知られています
- **北海道・沖縄では事情が違います。**移住時期/別系統の信仰体系
- 偏る理由は石材・村落構造・石工・人口と経済力・失われた度合い
- 「もともと少ない」のか「失われた」のかは、資料が無いと区別できません
- 調べるなら**隣の市町村の資料も見てください。**比べて初めて特徴が見えます