庚申塔を英語で説明すると
定訳がありません。
庚申塔(こうしんとう)は日本の民間信仰に固有のものなので、 そのまま置き換えられる語が英語に存在しません。
だから「訳す」のではなく「説明する」ことになります。
訳語として使われるもの
資料や案内板で見かける形:
・ローマ字表記をそのまま使う(Koshin-to/Koshinto)
→ 博物館・自治体の英語版でよく採られる形
・「stone monument」「stone marker」のような
一般語で受ける形
・上の2つを組み合わせて、
ローマ字+一般語+短い説明、とする形
3つ目が実用的です。
ローマ字(固有名として)
+ 何であるかを示す一般語
+ 一文の説明
説明の組み立て
何から言うかで伝わり方が変わります。
順序の案
① まず「石でできた記念碑である」と位置づける
→ 相手が最初に知りたいのは【物としての正体】
② 立っている場所を言う(道端・辻・村の境)
→ これで「見かけるもの」だと伝わる
③ 建てた主体を言う(地域の人々の集まり)
→ 個人の墓ではないことがここで伝わる
④ 由来を言う(60日ごとの夜に眠らずに過ごす習慣)
⑤ 彫られているものを言う(三猿・憤怒の像)
④を先に言うと、相手が混乱しやすいです。
三尸の虫の話から始めると、 話が複雑になって「何の話か」が伝わりません。
説明が難しいところ
① 「庚申」そのもの
・干支の組み合わせ(十干十二支)
・60日周期
これは「暦のサイクルの一つ」と言うのが早いです。
十干十二支の仕組み全体を説明しようとすると長くなります。
② 三猿
ここは逆に説明しやすいです。
・「見ざる聞かざる言わざる」の三猿は
国際的にもよく知られている
・日光東照宮の三猿と同じモチーフ
三猿を入口にすると、話が通じやすくなります。
「あの三猿が、道端の石にも彫られている」という導入が効きます。
③ 混ざっていること
・道教が起点
・仏教の尊格が本尊
・神道の神も本尊になる
「一つの宗教のものではない」ことを先に言っておくと、 後の説明が破綻しません(→ 道教と三尸説)。
誤解されやすい点
✕ 墓(grave / tombstone)だと思われる
→ 人名が刻まれているため
→ 「建てた人の名前で、亡くなった人の名前ではない」と足す
→ → [庚申塔はお墓なのか](/haka/)
✕ 神社・寺の一部だと思われる
→ 道端にあるものが多い
✕ 怖いものだと思われる
→ 憤怒の像・踏まれた邪鬼
→ → [庚申塔は怖いものなのか](/kowai/)
案内するときに伝えること
外国から来た人を連れて行くなら、これも伝えたいです。
・触らない
・供え物を動かさない
・私有地に入らない
・今も世話をしている人がいる
まとめ
- 定訳がありません。訳すのではなく説明する
- 実用的なのはローマ字+一般語+一文の説明
- 説明の順序は物としての正体 → 場所 → 建てた主体 → 由来 → 彫られているもの
- 由来(三尸の虫)から始めると混乱します
- 「庚申」は暦のサイクルの一つと言うのが早いです
- **三猿を入口にすると通じやすいです。**国際的に知られたモチーフ
- **「一つの宗教のものではない」**と先に言っておきます
- 誤解されやすいのは墓・神社の一部・怖いものの3つ