庚申塔は日本にどれくらいあるのか
庚申塔(こうしんとう)の全国の総数は確定していません。
「何万基」という数字を見かけることがありますが、 このサイトでは調査主体を示せない数字を書きません。
理由から書きます。
なぜ総数が出せないのか
① 全国一斉の調査が存在しない
→ 調査は市区町村単位で、実施状況にばらつきがある
② 未把握のものが今も見つかる
→ 民家の敷地内・藪の中・移設先
③ 定義の幅
→ 「庚申」の字が無い[三猿](/sanzaru/)だけの塔を数えるか
→ [猿田彦](/sarutahiko/)銘のものを数えるか
→ 数える範囲で答えが変わる
④ 失われるものがある
→ 道路工事・区画整理・[撤去](/tekkyo/)
⑤ 判別できないものがある
→ 風化して銘文も図像も読めない
③がとくに厄介です。
「庚申塔とは何か」の線引きが揺れている以上、 数えた結果も揺れます(→ 形と種類)。
自治体単位なら分かることがある
市区町村の調査報告書には基数が載っていることがあります。
・「◯◯市石造物調査報告書」
・市区町村史の民俗編
・文化財一覧
これは調査主体・調査年・調査範囲が明示されています。
数字を引用するなら、こちらを使います(→ 調べるための資料と本)。
◎ 「◯◯市の調査(◯年)では市内に◯基」
✕ 「日本には◯万基ある」(出所不明)
「日本一多い」という言い方について
このサイトでは書きません。
・比較の前提(調査年・調査範囲・定義)が揃っていない
・自治体Aは徹底調査、自治体Bは未調査、という状況で比べられない
調査の密度が、そのまま「多さ」に見えてしまいます。
これは庚申塔に限らず、石造物の分布を語るときの基本的な注意です。
それでも言えること
分布に偏りがあることは、複数の資料から言えます。
・関東に多いとされる
・地域によって形式が大きく違う
・ほとんど見られない地域がある
「どこに多いか」は語れますが、「何基あるか」は語れません。
これがこのテーマの現状です。
自分の街の数を知るには
① 「(市区町村名)文化財 一覧」で探す
② 「(市区町村名)石造物 調査報告書」で探す
③ 図書館の郷土資料コーナー
④ 市区町村史の民俗編
**③④が確実です。**報告書は市販されていないことが多いです。
まとめ
- 全国の総数は確定していません
- 理由は5つ。全国調査が無い/未把握/定義の幅/失われる/判別不能
- とくに**「どこまでを庚申塔と数えるか」**で答えが変わる
- 自治体単位の調査報告書なら、調査主体・年・範囲が明示された数字があります
- このサイトは**「日本一多い」を書きません。**調査の密度が多さに見えてしまうから
- 「どこに多いか」は語れますが「何基あるか」は語れません
- 自分の街を調べるなら図書館の郷土資料・市区町村史の民俗編