「庚申塔」と「庚申塚」は何が違うのか
指しているものが違います。
庚申塔(こうしんとう) … 石造物そのもの
庚申塚(こうしんづか) … それが立っている場所・盛り土
「塔」はモノ、「塚」は場所です。
塚とは何か
「塚」はもともと、盛り土や小さな丘を指す語です。
・土を盛った場所
・そこに何かを祀った場所
・目印になる場所
庚申塚は、庚申塔が立てられた場所を指します。
① 庚申待という行事を営む
② 記念に庚申塔を建てる
③ その場所が「庚申塚」と呼ばれるようになる
塔が先、塚が後という順序です。
使い分け
| 言いたいこと | 使う語 |
|---|---|
| 石造物そのもの | 庚申塔 |
| 立っている場所 | 庚申塚 |
| 複数の石造物がまとまった場所 | 庚申塚・石仏群 |
| 地名 | 庚申塚(下記) |
地名として残った場合
ここで意味がずれます。
「庚申塚」は地名として残っていることがあります。
・かつてそこに庚申塔があった
↓
・「庚申塚」と呼ばれるようになった
↓
・地名として定着した
↓
・塔が失われても、地名だけが残る
現在「庚申塚」という地名の場所に、庚申塔があるとは限りません。
・道路整備で移設された
・区画整理で撤去された
・別の場所にまとめられた
地名は残り、モノは動きます。
「庚申塔前」というバス停
サジェストに「庚申塔前」があります。
これはバス停の名前です。
・停留所の目印として、近くの庚申塔が使われた
・交通の案内であって、庚申塔の情報ではない
このサイトでは交通案内を扱いません(keywords.md の除外方針①)。
ただし「石造物が目印として機能してきた」ことの証拠ではあります。 道端に立っていて、動かず、誰でも知っている——目印として理想的でした。
「塚」がつく他の地名
同じ形の地名は多いです。
・◯◯塚(何かが埋められた、祀られた場所)
・一里塚(街道の距離の目印)
どれも「目印になる場所」という共通点を持ちます。
庚申塚もこの系統です。
ただし個別の地名の由来は断定しません。
地名の語源には諸説あり、確定していないものが大半です
(README.md の方針④)。
実際の使われ方は混ざる
現地の案内板でも、両方が使われています。
・「庚申塔」と書かれた案内板
・「庚申塚」と書かれた案内板
・同じ対象を指していることもある
厳密に使い分けられているわけではない、というのが実態です。
このサイトでは「庚申塔」を石造物の名前として使います。
まとめ
- 「塔」はモノ、「塚」は場所
- 順序は塔が先、塚が後。塔が立った場所が塚と呼ばれた
- 地名として残った場合、塔が無くても地名だけが残る
- 「庚申塔前」はバス停の名前。交通案内であって庚申塔の情報ではない
- 「塚」がつく地名は目印になる場所という共通点を持つ
- 実際の案内板では厳密に使い分けられていない
関連
- 「庚申塔」と「道祖神」の見分け方
- 庚申塔はどこにあるのか──立っている場所の共通点
- 道標を兼ねた庚申塔
- 「庚申」がつく地名・駅名・バス停