庚申塔は怖いものなのか

庚申塔(こうしんとう)には、率直に言って怖い見た目のものがあります。

・牙をむいて怒っている
・人を髪でつかんで提げている([ショケラ](/shokera/))
・人の形をしたものを踏みつけている([邪鬼](/jaki/))
・腕が6本ある
・風化して顔が崩れている

この見た目には理由があります。


憤怒の相の意味

怒った顔は、見る人を脅すためのものではありません。

仏教の尊格には、憤怒の姿をとるものがある
 ・不動明王
 ・[青面金剛](/shoumen-kongou/)
 ・その他の明王

憤怒は、悪いものを退ける力の表現として説明されます。

穏やかな顔 … 慈悲を表す
憤怒の顔 … 悪を退ける力を表す

向いている方向は「守る側」です。

これが分かると、印象がかなり変わります。


踏まれているものは何か

邪鬼です。

・人の形をしているが、人ではない
・悪しきものの象徴とされる
・踏まれることで【抑えられている】状態を示す

**「押さえつけられている」=「制圧されている」**という表現です。

邪鬼の表情は塔によって違います。 苦しそうなもの、あきらめ顔、のんきに見えるものまであります。


提げられているものは何か

ショケラと呼ばれます。

・人の姿をしている
・青面金剛が髪をつかんで提げている

正体には複数の説があります。確定していません。

・[三尸の虫](/sanshi/)を人の姿で表したもの
・人間の煩悩を表す
・「青面金剛」という名の音の変化

どの説も断定できません。

「よく分からないもの」が彫られているというのが正確です。


風化が怖さを増す

彫られた当初の顔と、今見ている顔は違います。

・数百年の雨風
・顔の輪郭が崩れる
・目や口が読めなくなる

崩れた顔は、彫った人が意図した表情ではありません。

「怖い」と感じる要素の一部は、時間が作っていることになります。


心霊的なものではない

ここで触れておきます。

・庚申塔は[墓ではない](/haka/)
・人が死んだ場所を示すものでもない
・[庚申講](/koushinkou/)という集まりが建てた記念碑にあたる

刻まれている人名は、 建てた時点で全員生きている人の名前です(→ 文字を読む)。

「祟る」「触れると呪われる」といった性質のものとして 説明された資料は、このサイトでは扱いません。


それでも触らない

怖いからではなく、別の理由があります。

・文化財に指定されていることがある
・苔や汚れを落とそうとすると石を傷める
・私有地内にあることがある
・世話をしている人がいる

→ 写真を撮るときに気をつけること


まとめ

  • 怖い見た目には理由があります。憤怒の相・邪鬼・ショケラ・六臂・風化
  • **憤怒は悪を退ける力の表現。**向いている方向は「守る側」
  • 邪鬼は悪しきものの象徴。踏まれて抑えられている状態を示しています
  • **ショケラの正体は確定していません。**三尸説・煩悩説・音の変化説があります
  • 風化した顔は、彫った人が意図した表情ではありません
  • **心霊的なものではありません。**墓でも事故現場でもなく、講が建てた記念碑
  • 触らないのは怖いからではなく、文化財・石を傷める・私有地・世話をする人のため

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