熊谷市の庚申塔――僧の姿をした、市内でただ一基の指定文化財
熊谷市が指定文化財としている庚申塔(こうしんとう)は、「僧形庚申塔」という1基だけです。
市の指定文化財は300件近くありますが、 「庚申塔」の名がつく指定文化財は、これ1件しかありません。
僧形庚申塔とは
熊谷市西城の長慶寺にある「僧形庚申塔」は、 江戸時代の造立で、市の指定有形民俗文化財になっています(昭和34年4月17日指定)。
名称:僧形庚申塔
所在地:西城(長慶寺)
所有者:長慶寺
時代:江戸
指定:熊谷市指定有形民俗文化財(S34.4.17)
「僧形」とは、僧侶の姿を模しているという意味です。
青面金剛を彫った図像塔が一般的な中、 僧の姿をした庚申塔という時点で、よく見る型とは違います。
※このサイトでは、像の細部(持ち物・姿勢など)まで裏の取れていない情報は書きません。 分かっているのは「僧形」という分類名までです。 現地や熊谷市の資料で確認することをおすすめします。
指定件数の少なさをどう読むか
「指定が1件しかない=熊谷市に庚申塔が少ない」ではありません。
庚申塔は日本にどれくらいあるのかで書いたとおり、
指定文化財の数 = 自治体が「特に重要」と判断したものの数
実際に残っている数 = 別の話
熊谷市には郷土資料館やデジタルミュージアムがあり、 庚申塔・青面金剛・三猿についての解説ページを公開しています。
指定されていない庚申塔についても、 市内には相応の数が残っていると考えるのが自然です。
埼玉県北部という土地柄
庚申塔が多い地域と、その理由で書いたとおり、 関東は庚申塔が多いとされる地域です。
熊谷市はその埼玉県の北部にあたります。
・村落が安定していた地域では、庚申講が続けやすかった
・石材と石工の流通があった
「僧形庚申塔」のような珍しい型が1件でも指定されているのは、 この地域に一定の蓄積があったことの表れとも読めます。
熊谷市の資料を見に行く
現地を歩く前に、熊谷市のデジタルミュージアムや 郷土資料館の展示解説を確認しておくと、見方が変わります。
① 熊谷市の文化財一覧ページ
② 熊谷デジタルミュージアム(石造物の解説)
③ 熊谷市立江南文化財センター(問い合わせ先)
見に行くときに
① 私有地・寺の境内では静かに
② 触らない・こすらない
③ 供え物を動かさない
④ 所在地を無責任に公開しない
まとめ
- 熊谷市の指定文化財で「庚申塔」の名がつくのは「僧形庚申塔」1基だけです
- 西城・長慶寺、江戸時代、市指定有形民俗文化財(昭和34年指定)
- 「僧形」=僧侶の姿をした庚申塔。青面金剛像が一般的な中では珍しい型です
- 指定件数の少なさは「実数の少なさ」を意味しません
- 熊谷市は埼玉県北部=関東の中でも庚申塔が多いとされる地域に含まれます
- 見に行く前にデジタルミュージアムや郷土資料館の解説を確認すると見方が変わります