日月と鶏はなぜ彫られるのか
庚申塔(こうしんとう)の図像には、青面金剛と三猿のほかに、 上部の日月と脇の鶏があります。
どちらも「夜が明ける」ことに関わると説明されています。
日月(にちげつ)
塔の上部、左右に彫られます。
・向かって右に日(太陽)、左に月
・円で表されることが多い
・月は三日月の形のこともある
説明として伝わっているもの:
① 夜通し行われる行事であることを示す
日と月の両方=一昼夜
② 天を表す
③ 時の経過を表す
①が庚申待の内容と噛み合います。
庚申待は夜から朝まで続く行事です。 日月を並べることで、その一晩を示しているという理解になります。
鶏(にわとり)
青面金剛の脇、三猿の上あたりに二羽彫られます。
・雌雄一対とされる
・向かい合っている形が多い
説明として伝わっているもの:
① 鶏が鳴くと夜が明ける
→ 庚申待が終わる合図
→ 三尸の脅威が去る
② 神使としての鶏(神社で飼われることがある)
①がいちばん素直な説明です。
庚申の夜 … 眠らずに過ごす
↓
鶏が鳴く … 夜明け
↓
行事が終わる。三尸はもう抜け出せない
鶏は「終わり」を告げる存在として彫られています。
全体で一晩を表している
整理すると、庚申塔の図像は一晩の物語になっています。
| 図像 | 何を示すか |
|---|---|
| 日月 | 一昼夜(夜通しであること) |
| 青面金剛 | 三尸を抑える力 |
| ショケラ | 捕らえられた三尸(諸説あり) |
| 邪鬼 | 踏み伏せられた邪悪なもの |
| 三猿 | 報告させない(見ざる聞かざる言わざる) |
| 鶏 | 夜明け=行事の終わり |
これが庚申塔を読む面白さです。
1基の石塔に、行事の目的・方法・終わりまでが図として収められています。
→ 庚申塔の見方
「二猿」について
サジェストに「庚申塔 二猿」があります。
・猿が2匹だけ彫られたもの
・三猿が定型だが、二猿・四猿・一猿もある
鶏と猿を見間違えることもあります。 風化していると、脇の鶏が猿に見えることがあります。
無い場合も多い
・文字塔には図像が無い
・図像塔でも、日月・鶏が省略されることがある
・時代が下ると簡略化する傾向があるとされる
「揃っていないと庚申塔ではない」わけではありません(→ 形と種類)。
まとめ
- 日月と鶏はどちらも「夜が明ける」ことに関わります
- 日月は一昼夜=夜通しの行事であることを示すとされています
- 鶏は夜明けを告げます。庚申待の終わりを意味します
- 庚申塔の図像は一晩の物語になっています(目的・方法・終わりまで)
- 三猿以外に二猿・四猿・一猿もあります
- 風化していると鶏と猿を見間違えることがあります
- 省略されることも多いです。揃っていなくても庚申塔ではあります