庚申塔と二十三夜塔・月待塔の違い
庚申塔(こうしんとう)と二十三夜塔は、いちばん近い関係にあります。
庚申塔 … 庚申の夜を、眠らずに過ごした記念
二十三夜塔 … 月の出を、待って過ごした記念
どちらも「集まって夜を明かす行事」の記念碑です。
月待(つきまち)とは
特定の月齢の夜に集まり、月の出を待つ行事です。
・決まった日の夜、講の人が集まる
・飲食をともにしながら、月が出るのを待つ
・月を拝んで解散する
二十三夜がもっとも多いです。 他に十五夜・十九夜・二十二夜などがあります。
庚申待との対応
| 庚申待 | 月待 | |
|---|---|---|
| いつ | 庚申の日(60日に一度) | 決まった月齢の夜(毎月・年数回) |
| 何を待つ | 夜明け(眠らずに過ごす) | 月の出 |
| 理由 | 三尸の虫に報告させない | 月を拝む・願をかける |
| 記念碑 | 庚申塔 | 二十三夜塔・月待塔 |
| 本尊 | 青面金剛など | 勢至菩薩など(二十三夜) |
構造がほぼ同じです。
集まる → 夜を過ごす → 何度か続けた記念に石塔を建てる
この形が共通しています。
なぜ似た行事が2つあるのか
「講」という仕組みが先にあったと考えると分かりやすいです。
講 … 同じ目的を持つ人が集まる、地域の集まり
→ 費用を出し合う
→ 定期的に集まる
→ 集まる口実として、行事がある
庚申講も月待講も、この形をしています(→ 庚申講)。
「夜に集まって飲食する機会」としての側面が、 どちらの行事にも共通していたと考えられます。
見分け方
① 文字を読む
「庚申」「庚申塔」 → 庚申塔
「二十三夜」「廿三夜」 → 二十三夜塔
「月待」 → 月待塔
② 像を見る
青面金剛・三猿 → 庚申塔
勢至菩薩 → 二十三夜塔のことが多い
「廿」は「二十」の異体字です。 「廿三夜」と刻まれているものが多いです。
並んで立っていることが多い
区画整理や道路整備で、周辺の石造物が一箇所に集められた
しかも庚申塔と月待塔は、もともと近くにあった可能性が高いです。
・同じ講の人が両方を営んでいたことがある
・同じ場所(辻・寺社の境内)に建てられた
由来が近いぶん、もともと隣り合っていた例があることになります。
「待つ」という共通点
構造として面白いのはここです。
庚申待 … 眠らずに【夜明けを待つ】
月待 … 【月の出を待つ】
どちらも「待つ」ことが行事の中身になっています。
→ 何かをするのではなく、待つ
→ 待つあいだに、飲食し、話す
→ それが集まりの機能だった
**石塔は「待った記録」**ということになります。
他にも「待つ」行事がある
・日待(ひまち) … 日の出を待つ
・甲子待(きのえねまち) … 甲子の日に大黒天を祀る
・巳待(みまち) … 巳の日に弁財天を祀る
どれも記念の石塔が建てられることがあります。
庚申塔は、この「待つ行事の記念碑」という大きな群の一つです。
まとめ
- どちらも集まって夜を明かす行事の記念碑
- 待つ対象が違う。庚申待は夜明け/月待は月の出
- 構造は同じ。集まる → 夜を過ごす → 記念に石塔を建てる
- 背景にあるのは**「講」という集まりの仕組み**
- 見分けは文字。「庚申」か「廿三夜」か
- 並んで立つのは区画整理のほか、もともと近くにあった可能性もあります
- 庚申塔は「待つ行事の記念碑」という大きな群の一つ