青面金剛とは──庚申塔にいちばん多く彫られる姿
庚申塔(こうしんとう)に像が彫られている場合、 もっとも多いのが青面金剛(しょうめんこんごう)です。
どんな姿か
・憤怒の表情(怒った顔)
・腕が多い(六臂=6本が多い。四臂・八臂もある)
・それぞれの手に武器や道具を持つ
・足元に邪鬼を踏んでいる
・下に三猿、上に日月、脇に鶏が配されることが多い
「怒った顔で、腕が多くて、何かを踏んでいる」 これを見たら青面金剛と考えてよいです。
手に持つもの
六臂の場合、次のような組み合わせが伝わっています。
・剣(けん)
・ショケラ(人型のもの。→ 別記事)
・輪宝・法輪
・弓・矢
・三叉戟(さんさげき)
地域差・時代差が大きいです。 持ち物の組み合わせは一定していません。
とくに「ショケラ」が独特です(→ ショケラとは)。 髪をつかんで人型のものをぶら下げている姿は、他の尊格にあまり見られません。
なぜ庚申信仰の本尊になったのか
確定した説明はありません。
伝わっている説明を挙げます。
① 病を除く力があるとされた
→ もともと病魔を退ける尊格とされていた
② 「青」が庚申の「庚(かのえ)」と結びつけられた
→ 五行説による説明
③ 憤怒の姿が「三尸を退ける」役に合った
→ [三尸の虫](/sanshi/)を抑える存在として当てはめられた
どれも「そう説明されている」以上のことは書けません。
このサイトは断定しません(articles.md 方針①)。
系統が複雑
青面金剛は、単純に「仏教の仏」とは言いにくいです。
・仏教の尊格として扱われることがある
・ただし経典上の位置づけがはっきりしない部分がある
・道教由来の庚申信仰と結びついた
・日本で独自に発展した面が大きい
これが庚申塔を「石仏」と呼びにくい理由でもあります (→ 馬頭観音との違い)。
「石造物」「石造文化財」のほうが広く使える語です。
青面金剛が彫られない庚申塔も多い
像が無い庚申塔のほうが多い地域もあります。
・文字塔 … 「庚申」「庚申塔」「庚申供養塔」の文字だけ
・猿田彦 … 神道系の要素が入った形(→ 別記事)
・帝釈天・不動明王 … 別の尊格が彫られる形(→ 別記事)
時代が下ると文字塔が増える傾向があるとされています。
初期 … 像を彫る(手間と費用がかかる)
後期 … 文字だけにする(安価で早い)
これは推測を含むので、地域の調査資料で確認する必要があります。
見るときのポイント
現地で観察するなら、ここを見ると面白いです。
① 腕の数を数える(六臂か、それ以外か)
② 手に何を持っているか
③ ショケラを提げているか
④ 足元の邪鬼の表情(苦しそう/のんき/様々)
⑤ 三猿の並び方・姿勢
④が意外に面白いです。 邪鬼は踏まれている側なので、造った石工によって表情が違います。
まとめ
- 庚申塔にいちばん多く彫られるのが青面金剛
- 特徴は憤怒の表情・多い腕・踏まれた邪鬼
- とくにショケラを提げている姿が独特
- なぜ本尊になったかの確定した説明はありません(病除け・五行・三尸を退ける等の説)
- **系統が複雑です。**単純に仏教の仏とは言いにくいです
- **像が無い文字塔も多いです。**時代が下ると増える傾向があるとされています
- 見るときは腕の数・持ち物・ショケラ・邪鬼の表情・三猿